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静かなどよめきが、辺りに起こる。
レイジス率いる一行が、サランディール城に入城したのは、それから間もなくの事だった。
レイジスと、そしてそこから一歩後ろにつくミーシャ。
俺と、そのすぐ足元をてこてことやや早歩きでついている犬カバは、二人のすぐ後ろについているガイアスの更に後ろに位置している。
そしてその後にはガイアスん家からここまでついてきた護衛や騎士達。
その大人数を携えて──レイジスとミーシャは城の中を迷いなく進んでいく。
もしかしたらセルジオの配下の騎士とかが剣を振り上げて二人に襲いかかるかも……なんて心配は、どーやら不要らしかった。
皆、レイジスとミーシャの姿を見て驚いて、更にこの大行列で恐れ慄いて道をそのまま開けてくれる。
中には帰りを待ち侘びてましたってばかりに、レイジスとミーシャに心から頭を下げたり泣いたりする人もいる。
俺もよくよく見知ったマーシエも、その一人だった。
向かう先は、この俺も流石に一度も足を踏み入れた事がなかった、王座のある謁見の間だ。
きっとそこに──セルジオ・クロクスナーの姿もあるだろう。
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