二十六章 決着

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アルフォンソを監禁してあんなに弱らせ、政治の実権を握って好き放題して。 そして──ダルク・カルトの、仇でもある男。 グッと、握った拳に力が入る。 レイジスが謁見の間の大扉の前に着くと、その両脇を固めていた兵士二人が驚きに満ちた顔でレイジスを、そしてそのすぐ後ろに控えたミーシャを見る。 ここに着くまでにも何度も見かけた、まるで幽霊でも見た様な顔だったが、そんでもレイジスが何も言わなくても「殿下、お帰りなさいませ」ときちんと挨拶をし、大扉を慇懃な様子で内側に開く。 途端、キラキラと輝くシャンデリアの明かりが部屋の中から満ち溢れてきた。 レイジスが謁見の間に足を踏み入れると、そこには。 ある一人の男の姿があった。 中肉中背の四、五十代程の男だった。 オールバックにまとめられた白髪混じりの濃い色の金髪。 ダークグレーの眼は今は戸惑いと驚きに揺れていた。 その眼が、今ここに入ってきたレイジスとミーシャから、再び(・・)ってな感じで自然と部屋の右の方へ向く。
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