253人が本棚に入れています
本棚に追加
とりあえず、すぐ手前の右っ側の戸を開けてみることにした。
相変わらずのふっかふかの赤い絨毯に、クリームの色地の小花柄の壁紙。
カーテンには上質そうな緑色を使っていた。
洒落たアンティーク調のドレッサーや、クローゼット…。
どうやらここは若い奥方か何かの部屋らしい。
~ってことはドレッサーの中には宝石付きの指輪やアクセサリーがたんまり……!
ってな展開なら良かったんだが、実際はそうじゃなかった。
あったのは口紅やらなんやら、訳のわかんねぇ化粧品と、道具の数々。
さっと次の引き出しを開けるが、そっちにあったのもブラシとカーラー、ピンに、髪飾りの花のレプリカ。
そんなもんだった。
金目のもんとは言いがたい。
念のためにドレッサーの正面に立ってたクローゼットの方も開けてみる。
そこにはクローゼットいっぱいに、今の若い女が着ててもおかしくはないデザインの服が入ってた。
ワンピースに、シャツ、スカート…。
服の趣味からいうと、わりかし清楚系だったのかもな。
けど肝心の金目のもんは、やっぱりどこを探しても見当たらなかった。
はあっ、と悲痛に息をついて、俺はクローゼットを閉めてそいつを背に座り込む。
最初のコメントを投稿しよう!