一章 出会い

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とりあえず、すぐ手前の右っ側の戸を開けてみることにした。 相変わらずのふっかふかの赤い絨毯に、クリームの色地の小花柄の壁紙。 カーテンには上質そうな緑色を使っていた。 洒落たアンティーク調のドレッサーや、クローゼット…。 どうやらここは若い奥方か何かの部屋らしい。 ~ってことはドレッサーの中には宝石付きの指輪やアクセサリーがたんまり……! ってな展開なら良かったんだが、実際はそうじゃなかった。 あったのは口紅やらなんやら、訳のわかんねぇ化粧品と、道具の数々。 さっと次の引き出しを開けるが、そっちにあったのもブラシとカーラー、ピンに、髪飾りの花のレプリカ。 そんなもんだった。 金目のもんとは言いがたい。 念のためにドレッサーの正面に立ってたクローゼットの方も開けてみる。 そこにはクローゼットいっぱいに、今の若い女が着ててもおかしくはないデザインの服が入ってた。 ワンピースに、シャツ、スカート…。 服の趣味からいうと、わりかし清楚系だったのかもな。 けど肝心の金目のもんは、やっぱりどこを探しても見当たらなかった。 はあっ、と悲痛に息をついて、俺はクローゼットを閉めてそいつを背に座り込む。
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