一章 出会い

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薄めに化粧もしてるし、まつげもいつもの二倍増しだ。 いつもの俺とはもちろんかなり印象が違う。 「まっ、こんだけうまく化けてりゃバレねぇだろ! これで大手を振って街を歩けるぜ!」 だっはっはーっと鏡の前で笑ってやる。 ──と。 がたり、とこの家のどこかから物音が響いた。 一瞬借金取りの仲間か?!とヒヤリとしたが…… ~ま、このナリなら大丈夫だろ。 この素敵変装、見破れるもんなら見破って見やがれ! 自信たっぷりに思い、すました顔でその辺の椅子に座る。 足音が、上の階に上がってきた。 足音は一つで、思ったよりは軽い。 ただし。 ──帯剣してやがるな。 思わず口をへの字に曲げる。 俺は耳もかなりいいんだ。 今までゴルドーの手先から逃げる途中の経験からしても、こいつは信用していい。 階段を上ってくるのは、小柄な女ってとこだ。 それも、足音を立てねぇように慎重に足を運んでやがる。 まあまあ剣も扱えそうだな。 あっ、でも美人のお姉さんだったらナンパしたかったなぁ。 ちらっと頭をよぎったが、バッチリメイクをすぐに落とせるわけでもねぇ。 悔しいが。 な~んて事を考えてると。 足音が、この部屋の前で止まる。
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