一章 出会い

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男はしばらく俺を見た後に、いう。 「──私は……ダルクという。 君は一体…?」 自分の名を名乗るのに、ほんの何分の一秒か、間があった。 本名じゃないのかもしれない。 直感的にそう感じつつ、俺は男に向かっていう。 「──私は、リアよ。 ここは私の家だけど…。 あなた、いきなり人の家に上がり込むなんてどーいうつもり? 泥棒か何かなの?」 ぺらぺらと、口が勝手に動く。 さすがは口先八丁と言われた俺だ。 自分自身にちょっぴり感動するぜ! ところが男、ダルクは俺をしげしげと冷静な眼差しで見つめ、眉をひそめる。 ぎくりとした俺に気づいたのかどうか──。 「…もう一度問うが、君はどこの誰だ?」 問いかけてくる。 俺は…たらりと冷や汗が流れるのを感じだ。 ピン、と一つ人差し指を立てて、聞き返す。 「その質問に答える前に、一個質問。 あなた、ゴルドーの手先?」 一応まだ女声のまま問うと、ダルクが妙な顔をする。 「ゴルドー…?誰だ、それは」 「極悪金貸し ゴルドー。 この辺りじゃわりかし有名よ」 言ってやると、ダルクは訳がわからないって言わんばかりに肩をすくめた。 返ってきた返事も「知らん」の一言。 俺はほんのちょっと息をつく。
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