一章 出会い

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「ま、待て!私はここに住むなんて一言も…!」 ダルが慌てたようにいってくるのに、俺は肩をすくめて横目でダルを見た。 「ダル。 行くあてねぇんだろ?宿を探せば金がかかるぜ。 俺がせっかくここに住んでいいってんだから大人しくそうしろよ。 タダで住まわしてやるぜ。 その代わり、俺のことはゴルドーと手先たちには内緒で頼む」 片目でウインク一つくれてやると、ダルが呆れたように俺を見返す。 「何を自分の家のように……。恩着せがましいにも程がある」 「細かいことは気にすんなっての。 いーからいーから」 「…………」 おうおう、ダルのやつ、真面目だなぁ。 黙り込んじまったぜ。 俺が頭の後ろで手を組んだままダルの返事を待っている……と。 しばらくの沈黙の後、ようやくダルが一つ息をついた。 「──分かった。そうさせてもらおう」 その答えに俺はにやりと笑う。 最初から素直にそーいやいいんだよな。 まったくもったいつけやがって。 「──じゃー、ま、よろしくな、ダル」 俺が言うと……ダルがふっと一つ息をついて「ああ、よろしく」と返したのだった。 この出会いが──後々とんでもない事件につながることになるとは、俺はまったく全然予想だにしなかったのだった──。
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