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◆◆◆◆◆
どれだけの間そこでそうしていただろう。
ミーシャは、ジュードの剣を抱いたまま階段に座り込み、ただただじっとしていた。
ジュードは、来ない。
外の音も、何も聞こえない。
暗闇には目が慣れたが…それだけだった。
父や母、二人の兄、そして、ジュードの生存さえ定かではない。
──一体、何が起こったの……?
内乱だったのか、それとも敵国が攻めてきたのか?
ミーシャには分からなかった。
ここでじっとしていても、仕方がないことも分かっている。
けれど、どうしてもこの場を離れたい気がしなかった。
怖かったのだ。
それまでの全てを切り捨てて──見捨てて、それでもどこへ行くというあてもなく、未来さえも見えない。
自分が、こんなに臆病だったなんて。
ぎゅっと剣を握りしめる。
ジュードは、どうして剣をミーシャに託したのだろう。
確かに前は、二人の兄たちや、騎士たちと同じように剣を振り回し、戦ってみたいと思っていた。
けれどそれは練習でだけのことだ。
自分自身の身を守る為に、人を斬ることではなく……。
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