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ぞくり、とミーシャの胸の内に不安が押し寄せる。
この姿はまるで、これからのミーシャの姿を予見しているかのようだった。
悲鳴を上げそうになるのを押さえて──ミーシャは静かに、問う。
「──あなたは……一体、どこの誰だったの……?」
答えがないことは分かりきっていた。
けれど、パニックを押さえる手助けにはなった。
「…………」
無論、答えはない。
けれど。
かたん、と音を立てて、何かが地面に落ちた。
ミーシャは、そっと屈んで、その“何か”を拾い上げる。
それは、錆び付いた何かの鍵のようなものだった。
鍵とは言っても、普通の形状の鍵ではない。
ミーシャが見たこともないような、何かの鍵だ。
鍵にはキーチェーンがついていて、先に平べったい金属製のタグのようなものがついていた。
「──『ダルク・カルト』……?」
金属に掘られた文字を、指先だけで辿って識別する。
「ダルク──」
男の名だろうか。
なぜこの人は、こんな所で力尽きることになってしまったのだろう。
ミーシャは──そっとその鍵を骸骨の横に戻し、手を合わせると、剣を抱えたまま再び歩き始めた。
「──名前だけ、もらわせてね」
そんな言葉を、後ろの骸骨にかけながら──。
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