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「行けー!」
「シュート、打てー!!」
キラキラと眩しいほどの日差しが降り注ぐ校庭に、男たちの声が響く。
今日の3時間目の授業は体育、2クラス合同でのサッカーだ。
他クラスとの試合形式・・・となると、やけに男共のテンションが上がるのは何故だろう。
ここらへんは要領よく、疲れない程度に・・・と他の奴らに紛れている俺を蚊帳の外に置き。
サッカー部や経験者が中心になりつつも、運動神経に自信のある奴がそこに絡み白熱している中、俺と同じクラスのひとりの生徒・・・ユイにパスが渡った。
「松原、頼むぞー!!」
ゴール前。
すぐにディフェンスに駆け寄って来るサッカー部の奴と向かい合う、その背中。
183cm75kgの長身、日差しに照らされて輝く少し茶色の髪、広い背中。
こんなときくらいは精悍に引き締まっているのかと思いきや、一瞬見えたその横顔は・・・いつも通り。
とろん、と溶けてしまいそうなくらいに甘い。
(・・・ユイ)
とくん、と震える胸。
けれど絶対にそれを気付かれまいとキュッと唇を噛んだ俺の視線の先で、ユイが相手のサッカー部員を抜き、キーパーと1対1の決定的な場面を迎える。
わああああっと、男たちから一気に上がる歓声。
・・・けれど。
そのままシュートに行くかと思われたユイは、おもむろに近くにいた味方にパスを出した。
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