52人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
「ええっ!?マジか、松原!」
急にパスを受けた味方は、焦りの余り見事にシュートミス。
歓声が一転、落胆の溜息に変わり・・・そのままゲーム終了となった。
「何してんだよー。おまえ、最後シュートまで行けよー!!」
「ハハ、悪い悪い」
仲間にもみくちゃにされながらコートの外へと出て行くユイが、ふと後ろを歩く俺に気付いて振り返り・・・へにゃり、と笑った。
「ごめんね、チハ。最後、上手く出来なくて」
「・・・おい、ユイ」
俺の発した声は、ブスリとした表情とも相まって自分でも驚くくらいに不機嫌そのもの。
好きな相手への態度としては最低、と言い切れる自覚もある。
けれど、仕方ないじゃないか。
こうでもしていないと『好き』がとろりと溢れ出して、みっともないくらいに無様な男になるとわかっているから。
だから俺は、いつも通りに・・・俺より8cm身長が高いユイをギロリと睨んで見上げる。
最初のコメントを投稿しよう!