ポテト

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 彼はこの後、バーに顔を出さなきゃいけないとかで、朝の待ち合わせ場所で解散する。再び人波に消えていくその後姿は満足そうだったけれど、僕の手に下がっている大きな紙袋はずっしり重たくて、使わなくていいから、とは言われたけれどじゃあどうしろというのだろう。  空は少し晴れ間が見えたくらいだった。雲の向こうに見えた茜色は、彼が持って帰ってしまった石鹸の赤に似ていて深く、濃い色をしていた。
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