レジェンド

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 それから数か月が過ぎた。シアンが起きられなくなっていた。  長時間起きていると胸が苦しくなるという。政(まつりごと)も横になって行っていた。  三人の守り役が常に側にいた。 「孫のようなシアン王まで看取ることになるとは、長生きをしていいのか悪いのか」 「まったくじゃ。こんな老いぼれにこのような大役を強いるとは」 「しかし、先に逝っても心配で、後ろ髪引かれる思いになろう」  三人は代わる代わるそんなことを口にしていた。  ある夜、紫黒と瑠璃がシアンの寝室に呼ばれた。  最期の別れだった。  二人が入室すると、三人の守り役が遠慮して、部屋から出ようとしていた。しかし、シアン王はそれをとめる。 「よい、三人にもここにいてもらいたい。それと烏羽も呼んでほしい」  烏羽はすぐ外の廊下にいた。神妙な面持ちで入ってくる。 「皆の者。よく聞いてほしい。わたしは今から転生することを宣言する」  守り役たちが膝まづく。  烏羽と紫黒も同じ体制をとった。瑠璃も慌てて床に膝をついた。  シアンがもうすぐこの世を去る。  王は自分の転生するところ、生まれ変わった自分を産む両親を知っている。  それを今から発表し、産まれたらその子と両親を王宮内に保護することになるのだ。 「紫黒、瑠璃、おめでとう。瑠璃の中に新たなる命が授かっている」 「ええっ」  紫黒が大声を上げた。 「え、まさか」
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