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午後11時50分。武道館前は人気が無くひっそりとしている。その南口の前で翔太と太郎は立ち尽くしていた。
翔太はファミレスから出ると、理由をつけてこのまま帰ろうかと思った。イベントは怪しさ満点だし、ノノノについて語る太郎には正直辟易している。しかし、フィギアを貰っている手前、不義理な行いは出来ないと思い直し、結局、彼と共に武道館に来た。
「誰もいないな……入り口も開いてないし。奥田、やっぱり担がされたんじゃないか?」
「事務所が? ファンを? ありえないでござる! 早く着きすぎたでござるかな?」
「10分前だったら迎える準備ぐらい整っているだろ」
投げやりに言う翔太は心の中で、このまま何事も起きず、太郎が諦めてくれることを祈った。
……そしたら、もう終電は過ぎているから、今日は漫喫に泊まるか。親には「友人の家に泊まる」って言ってあるから問題は無い。……「お前に友達がいたのか!?」って泣いて喜ばれたっけ……。
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