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「は…はい……」
かろうじて息をするかの様に翔太は答えた。
「チケットを拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」
太郎が慌てて猫耳メイドにチケットを手渡す。猫耳メイドはエプロンのポケットから小型の機械を取り出した。それはスーパーのバーコードスキャナーに似ていた。
猫耳メイドが機械から放たれる緑色の光をチケットのバーコードに当てると、「ポーン♪」と軽快な電子音が鳴る。
もう一回、「ポーン♪」。
二枚のチケットをスキャンし終えると、猫耳メイドはそれらを機械と一緒にエプロンのポケットに仕舞った。
「ありがとうございます。奥田 太郎様と奥田 ンジャラホイ様ですね?」
猫耳メイドは交互に二人を見る。
「ハイ。拙者が太郎でこっちがンジャラホイです」
太郎は手を上げて答えると、翔太に目配せした。「自分に合わせてくれ」と訴えている。
そうか。奥田のイトコのチケットで来ているんだっけ。しかし、ンジャラホイって何人だ?
翔太は太郎の家族構成が気になりながらも、「ンジャラホイです」と彼のイトコの名を騙った。
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