苦さと甘さと。

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半年前まで真美は、頬がふっくらして真ん丸な顔をしていた。肉付きのよさから「肉まん」というあだ名がついていた。 「よっ、肉まん。お前みてると腹減ってくるよ」 そんなことをよく言われていたし、 「でしょ。あたし、ここに立ってたら絶対、売り上げUPに貢献すると思うんだよねー」 コンビニで真美は、ほかほかな湯気が上がり蒸されている肉まんあんまんの横に立ってニコニコしていた。 その真美が激ヤセした理由は、俊太との出会いだ。 バイト先で会った俊太に、真美は一目惚れした。真美にとって、一目惚れははじめてのことだった。 一目惚れなんてありえない、そう思っていたはずの真美は自分に急に降ってきた「一目惚れ」に動揺した。だから恋の駆け引きなんてやつは全くできず、好きという気持ちを隠せず、真美が俊太を好きなことは、もう誰がみても明らかだった。 「俺、食べることが一番嫌い。めんどくさい。楽しくない。義務でしかないよ。だからこれでいい」 ゲームをしながら俊太はウイダーインゼリーを吸っていた。 「そっか、そうだよね。食べることって楽しくないよね、義務だよね」 真美は、自分のお腹を押さえながらウイダーイン ゼリーを吸った。
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