苦さと甘さと。

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お腹が鳴らないようにするためだ。 それからの真美は、俊太に合わせてほとんど食事らしい食事をとらなくなった。 ウイダーインゼリーやカロリーメイトなどの栄養補給食品ばかり。 「ごはんって、ほんとにめんどくさいよね!」 心にもないことを言っては、俊太の顔色をうかがっていた。 「ほんとだよ、グルメ番組とかほんとつまんねぇし。それにさ、食べ歩き大好きとか、食べること命とか言ってる奴、意味わかんねぇ。俺、絶対友達になれない」 そう言いながら俊太は、ウイダーインゼリーをめんどくさそうに吸い、空になった袋をゴミ箱に向かって投げた。 俊太の食事はそれだけで終わりだ。 真美は、たった一袋しか口に出来ない大切な食事を、ちびちび吸いながらもガクゼンとしていた。
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