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佐野は自分の席で、腕組みしながらなにかを悩んでいる。
翔(かける)は前方から近づき、机の両端を掴むと、抱えこんだ姿勢で正面から佐野の顏を覗き込んだ。
「ずいぶん真剣な顏つきだなあ。一体何を悩んでいるんだ?」
翔といっても、本日は遥(はるか)が入っている。
遥は翔から、佐野が鴫谷(しぎたに)先生を好きで、そのために一緒に金庫の鍵を捜したと、一連の流れの説明を受けていた。
今日は話が合わせられるので、積極的に話しかけてみた。
結局佐野がシギにホルマリンのビンで発見されたことを喋ったのかどうかなど、いろいろ聞きたいこともあった。
佐野は手元のノートを指した。
「これには俺の未来が描かれている」
「これに佐野の未来が!? 見ていい?」
翔は佐野のノートを覗きこんだ。
一本の太い線に、目盛りが振られている。
目盛りは、16才、17才、18才、19才、20才、21才、22才、23才。
18才で高校卒業。
22才で大学卒業。
23才のところに十字架が描かれて終わっている。
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