1.天空兄妹の秘密

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「あれは演技よ。目つきがキツイと嫌われるの。翔も私のときは出来るだけゆるい顔してよね」 「目つきがキツイだけで嫌われる?」 「女子って大変なのよ」 「まあ、男でも睨んだら、ガン飛ばしたって絡まれるもんな」 「でしょ。女子は陰口叩かれるから」 「じゃあ、俺も、遥に近づけなきゃな。こんな感じか?」  翔は顔の筋肉全体を思いっきり緩め、白目をむいて、口をだらしなく開けた。 「ちょっと、やめてよ。それじゃただのバカじゃない。もっとかわいくして!」 「じゃあ、こうか?」  翔は視線を斜め上にして、舌を少し出した。 「ちがーう! 逆に誰も声かけなくなる!」 「注文が多い……。じゃあ、こうか?」  今度は斜め下向きにして、呆けた顔を作った。 「やめてーー! そうじゃない!」 「ほんと、うるさい」 「可愛い顔を作ればいいの! 口元は締めて! 口角上げて! 目を笑わせて!」  表情がまとまらなくなった。 「あ、あれ? 注文が多くて、分からなくなっちまった」 「まず能面つくって、一つずつやっていきましょ」  深夜0時に魂が入れ替わるまで、翔は遥のダメだしを受けながら、敵をつくらない表情を特訓させられた。
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