2.金庫の鍵紛失事件

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―ー“ピピピ……”  朝の6時にセットした目覚まし時計が鳴り、翔(かける)は目覚めた。  今日は自分の体だ。 「あーーーーー ああああーーー」  大きく伸びをすると、布団の上で軽く柔軟体操をする。  低血圧の遥と違って、起きた瞬間から体が軽やかに動く。 「やっぱり自分の体はいいー。気遣いがいらないし、ラクーー」  外では雨音が聞こえる。 「ちぇー! せっかく自分の体なのに雨かよ! 外で運動できないじゃないか!」  おおいに残念。  気を取り直して制服に着替えると、階段を下りた。 「さーて、今日の弁当を作るか!」  台所へいくと、冷蔵庫から昨日買っておいた材料を取り出し、作り始めた。  野菜を切り、豚小間を切り、フライパンを熱して油を入れ、肉と野菜を炒めると、中華めんを放り込んで少し水を入れる。  フライパンを小刻みによく振ってめんをほぐしながら、塩コショウ、ウスターソースで味付けした。  母が起きてきた。 「あーー、いいにおい」 「おはよう」 「おはよう。今日は翔の当番?」  母はあいかわらず弁当作りを翔と遥(はるか)二人の当番制で、今日は翔の日だと思っている。 「そう。今日は俺ーー」  翔は食パンに辛子バターを手際良く塗った。
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