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―ー“ピピピ……”
朝の6時にセットした目覚まし時計が鳴り、翔(かける)は目覚めた。
今日は自分の体だ。
「あーーーーー ああああーーー」
大きく伸びをすると、布団の上で軽く柔軟体操をする。
低血圧の遥と違って、起きた瞬間から体が軽やかに動く。
「やっぱり自分の体はいいー。気遣いがいらないし、ラクーー」
外では雨音が聞こえる。
「ちぇー! せっかく自分の体なのに雨かよ! 外で運動できないじゃないか!」
おおいに残念。
気を取り直して制服に着替えると、階段を下りた。
「さーて、今日の弁当を作るか!」
台所へいくと、冷蔵庫から昨日買っておいた材料を取り出し、作り始めた。
野菜を切り、豚小間を切り、フライパンを熱して油を入れ、肉と野菜を炒めると、中華めんを放り込んで少し水を入れる。
フライパンを小刻みによく振ってめんをほぐしながら、塩コショウ、ウスターソースで味付けした。
母が起きてきた。
「あーー、いいにおい」
「おはよう」
「おはよう。今日は翔の当番?」
母はあいかわらず弁当作りを翔と遥(はるか)二人の当番制で、今日は翔の日だと思っている。
「そう。今日は俺ーー」
翔は食パンに辛子バターを手際良く塗った。
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