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まずは僕の話でもしようか、僕がまだ冒険をしていた時の話を。
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「“ホーリーナックル”!!」
そう唱えると、僕の両手が光を纏う。
そしてそのまま魔物に殴りかかる。
「グギャアアァァァアア!!」
そんなふうに呻きながら魔物は消えていった。
「ふう、取り敢えずここら辺はこんな所かな。」
「流石は勇者様だな。」
そんなふうにちゃちゃをいれてきたのはフレイ。
小さい頃からの幼なじみであり親友。
身長180cmほどで赤髪、顔の整った彼は炎の魔剣士だ。
「止してくれよフレイ、倒したのはただの雑魚だろ?」
「いやいや、剣を使わず魔物をガンガンと殴り倒すんだから流石だと思うぞ?」
「バカにしてるだろ...」
「くくく...」
この僕とフレイのやり取りはある意味[お決まりの流れ]となっている。
僕は剣を使わないのではなく、“剣を使えない”のだ。
勇者にとって致命的だが、魔力の扱いに長けていて、運動神経は抜群にいい僕は魔法で自分の能力を底上げしての肉弾戦を得意としている。
「あーあ、しかしなんで僕は運動神経は良いのに剣は使えないし、魔力の扱いには長けているのに攻撃魔法とかはあんまり使えないんだろ。」
「あら、でも自分の欠点を理解してその上でそれを補うように戦ったり鍛錬をしたりしているじゃないですか、私も流石だと思いますよ?」
「う、皮肉も混ぜて言ったから心が痛い...」
彼女はこのパーティーの回復担当、頼れる魔女のお姉さん、ミーシャだ。
彼女の属性は光なため、光と闇属性の僕とは相性がいい、回復が捗るためとても有難い。
「それに魔力の属性が光と闇の2つ持ちなんて、そうそうある事じゃない。」
そう言って話に入ってきたのは木の攻撃魔法を得意とする、僧侶のドズ。
僧侶なのに攻撃魔法を使うことに躊躇のない彼は昔、所属していた宗教団体でなにかやらかしたのだとかなんだとか。
あまり皆怖いので触れていない...
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