不安の始まり

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魔王を倒した僕達は無事に王都へ戻り報告をし、国王から褒美をもらった後近隣の国への挨拶も済ませた。 しかしそこからが問題だった。 富と名声をものにした僕達だったが、魔王を倒した為魔物の数も減り、勇者としての仕事は減っていった。 そのまま隠居して勇者として得た財産で暮らしていっても良かったのだが、なんだか居心地が悪く、結局2年たった今は故郷の薬屋でバイトをしているという訳だ。 ちなみにみんなはそれぞれの故郷に帰って行ったため今ではほとんど会っていない。 フレイとは故郷が一緒だから今でも会うことがある、というか... 「おう、客が来てやったぞユーリ!」 「また来たのかフレイ、商品を買わないやつを俺は客だとは思わない。」 「まーそんなこと言うなって、いい話が転がり込んできたんだよ。」 こんな調子で毎日くる、全くお前はやることが無いのか。 と、言いたいところだがそうではない。 来るのはいつもだが、たまに魔物討伐の依頼なんかを持ってきてくれている。 「今回の依頼はそんなにでかいのか?」 「まあでかくはないが儲けはいいぜ。」 ニヤニヤしながらこんなふうに言うユーリ。 お前まだ金を集めてどうする...とは思いつつも僕もバイトをやっているんだが。 「って事は貴族かなんかの依頼か?」 「まあそう言いたいところだがそうじゃない。」 「と言うと?」 「今回は長期に渡っての依頼になる。 と言うのも依頼の主は国王なんだよ。」 「なるほどね。 ...ってええ!!?」 「俺もビックリしたんだがどうやらまた問題が起きてるみたいなんだよ」 「はあ...国王も大変なこった。」 そんな風に言いつつも僕は正直期待してしまっていた。 どうやらそれはフレイも同じらしい。 「久々の長旅になるぜー」 そんな風に嬉しそうに言うフレイ。 するとそこに、この店の店長であり僕のおばさんに当たるサリーさんが入ってくる。 「長旅に出るってことは、あんたが帰ってくる迄他の人を雇わなきゃいけないかね。」 「いつもすいませんサリーさん。」 「国王様の申し付けなら仕方ないと言うしかないよ、しっかりと働いてくるんだね。」 そんなふうに笑顔で言ってくれるサリーさんのおかげで、僕は魔物討伐依頼などをしながらも暇な時はここで働くことが出来ている。 「さあそれじゃあ準備をしないとな。」
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