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「気持ち、少しは晴れるかもよ。オンナってそういうもんでしょ?」
「ミヤコ」
折角だし、今更どうにもならないことだけど、聞くだけ聞いて貰おうかな。第三者からなら何か目新しい助言をもらえるかもだし。
「じつはね」
ウチも彼女に上体を向け、おそるおそる、言葉を選びながら話し始めた。
「ウチの部屋で死ん、ウチとシンヤが、シンヤとその、いっ、イチャイチャしてしてるの見られちゃった、の」
ゴニョゴニョと所々をあからさまにはぐらかして、ウチはミヤコに言う。
「見られちゃったって。まさかおばさんにシンヤくんとの“うっふんあっはん”を目撃さ「ちがうからっ。そういうのじゃ絶対ないからっ。キス!キスしてるのを見られちゃったのっ」」
ミヤコの壮絶な勘違いに、ウチは全身全霊で首を左右に振った。
「なんだキスか。あんたその程度のレベルことで今の今まで悩んでたの」
呆れた、とミヤコは手首をかえす。
「その程度じゃないもん。ウチにとっては深刻な問題だもん」
「部屋でそんなことしてるからでしょ。自業自得よ」
「しょうがないでしょっ。だって外に連れ出そうにも、シンヤは今インフルエンザにかかってて具合悪いんだから」
「‥‥‥インフルエンザ?」
ぴくっ。 ミヤコの右眉が上に動く。
「その話って、いつのこと?」
「昨日。お見舞いにシンヤの部屋に行ったの。その後にな、なりゆきでウチの部屋にシンヤが来て、それで‥‥‥」
「お見舞い? 昨日お見舞いに行ったの?」
ウチの言葉を繰り返すミヤコの口調が少し険しく、強くなる。
「へ、変かな?」
「別に。お隣同士だし、幼馴染だし、変じゃないけどね。むしろ」
むしろ?
ミヤコは何か決心した風に口を開いて、
「むしろシンヤくんの方がその、大丈夫だったのかなって」
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