この世の終わりのようなカンケイ(仮)

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*** 『ただいまぁ。お兄ちゃん』   玄関から届く、毎度お馴染みの声に、リビングでサブカル雑誌に目を通していたオレも「お帰り」とルーティンに返事をした。   トテトテトテといつもの足音に、今晩はスッスッスッという聞きなれない足音がもうひとつ。 「こんばんわ。お兄さん」 「あれ。ミヤコちゃん」 「ええ。お久しぶりです」   タイミングがタイミングだっただけに、突然の訪問客に必要以上に戸惑ったものの、客人が彼女であったこととと、彼女の表情を見てすぐにいらん心配だったと理解し、持ち上げた尻を再びソファーに落とした。   どうやら彼女は、おおよその察しを携えてやってきたらしい。 「ねえ、お兄ちゃん」  「ん」   妹が、すがるようにオレを見つめている。 「お母さんのこと、なんだけど」   オレは妹の頭を二、三度撫でて、 「安心しろよ、もう済んだから。母さんもわけも聞かずに悪いことしたって、泣きながら謝ってたぞ。今日は流石に無理だけど、今週中にはまた母さんを連れてくるよ」 「ほんと?」 「ああ、本当だとも」   オレの返事に満足したようで、妹はリビングの真ん中でクルクルと回りだした。   風圧でプリーツスカートの端がふわりと踊る。   喜んでくれているようで何よりだ。色々動き回った甲斐があった。
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