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「話かけると息巻いてからもう一ヵ月だぞ」
明が面倒くさそうに悠斗の方に向き直る。
「……まだ一ヵ月しか経ってない!!」
「よし、そのポジティブさがあればどんな女の子相手でも話しかけられるから安心しろ。 ほれ、行って来い」
明は言葉とは裏腹にどうでもよさそうに窓側を顎で指す。
そんな窓側の列、最後尾には月野瑞樹(ツキノ ミズキ)、艶やかな黒髪を一本に縛り、左肩の前に持ってきている女の子。 パッチリ二重にバランスよく高い鼻、正に大和撫子を具現化したような美少女。
「なんて話しかけたらいいと思う?」
「知るか……っと、次は英語か。 あー……俺今日指されるんだったわ」
明は悠斗をあしらい、周りをキョロキョロと見渡し始める。
見捨てられた悠斗はうーん、と腕を組んで悩んでいる。
「どうせ話しかけられないんだから諦めろって……っと粟野、悪いんだけど英語の訳見せてくんね?」
明は呆れつつ、近くを通ったクラスメイトの女子に話しかける。
粟野と呼ばれた女子は、そんな明に呆れながらも自分の机からノートを取り出して明に渡す。
受け取った明はサンキューとお礼を言ってノートを写し始めた。
「そうか……その手があったか」
明の一連の行動を見ていた悠斗は何かを思いついたように立ち上がり、そして窓の方へと歩み始める。
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