「みずは」

2/2
前へ
/23ページ
次へ
「みずは」 彼女は耄碌している。 隣に羊を連れて海に流された気でいる。 羊皮紙を片手に 赤ん坊のオムツはどこだろうと きょろきょろしている。 僕は彼女を馬鹿にする。 だって自分の目はなぜ二つなんだろうと ペタペタと足の爪を触っているのだもの。 彼女は僕を阿呆だと言う。 だって何にも疑問がないのだものと 大笑いしている。 水銀みたいな空が落ちてきそうで怖い。 でも綿あめみたいな雲は好き。 オスの犬はちょっと怖いけど、 やっぱりかわいい。 ターザンになってみたい。 服を着るのは大層面倒くさい。 海はやっぱり怖い。 羊を愛してる。 あなたのことは、 ちょっとわからない。 でもだから、 多分好きなんだと思う。 やっぱり彼女は耄碌しているけれど、 とても可愛らしく思う。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加