新しい一歩

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「ウレシイ!」 「裁縫するの?」 携帯ショップ、保険代理店、その隣りに、裁縫箱という店があった。 毛糸や布が棚に陳列されている。 それにチエミが食いついた。 「編み物が好きなの」 「セーターとかマフラーも編むのよ」 田口は先に進むので、タクマとチエミがみんなから離れた。 「平さん、あとで!」 タクマが思わずチエミの腕を掴んだ。 見た目よりもずっと細かったのに驚いた。 「うん。ごめんね」 小柄なチエミはチョコチョコと歩く。 「菅野くんって優しいんだね」 照れもあって、タクマは腕を放した。 「大丈夫か?」 「スイマセン」 振り返った田口にタクマが答えた。 一周すると足が疲れた。 「倉庫の方も行ってみよう」 ヒールを履き慣れていないのか、樋口が足を少し引きずっていた。 「樋口さん、大丈夫?」 サヤカが気にしていた。
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