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事務所は店舗の最上階にある。
思っていたよりも敷地は広く、建物は大きかった。
「こっちからだね」
裏手に回ると、従業員専用出入り口を見つけた。
加瀬が先頭になり建物の中へと進んだ。
「キミたちが新入社員の……」
五人のことを田口トオルと言うフロアー長が首を長くして待っていた。
「ついて来なさい」
田口の後を、五人は神妙な面持ちでついて行った。
通されたのは、三階の会議室だった。
「ここで待っていて下さい」
田口が出て行ったあと、五人はテーブルに並んで腰掛けた。
加瀬、サヤカ、樋口、タクマ、チエミと並んだ。
加瀬がサヤカと話している。タクマはチエミ見た。
胸がテーブルの天板に当たっていた。
「イスが高くて足がつかない」
チエミの言葉に誘われて、タクマが足下をのぞき込んだ。
決してスラリとしているとは言えないチエミの太ももがスカートから覗いていた。
「ほら、全然!」
足をバタつかせるチエミの無邪気さに、タクマが頭をテーブルの下に寄せた。
ムニュとした感覚が頭上にあった。
「……」
タクマは何に当たったのか咄嗟に理解してチエミに無言で頭を下げる。
加瀬とサヤカがいきなり席を立った。
一拍おいて樋口、チエミとタクマは出遅れた。
頭を下げる三人に、二人も続いた。
会議室には書類を手にした田口が向かい正面に腰掛けて、「お座り下さい」と五人に告げた。
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