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会議室と同じ二階に更衣室もあり、ここで制服に着替えることになる。
「女子は後で制服を支給する。そうそう、倉庫組は向こうで説明があるはずだ」
先頭を歩いていた田口が窓の外を指さした。
どうやら加瀬とチエミの職場はここではないらしい。
「田口さん、更衣室もここではないんですか?」
「キミは?」
「加瀬コウタです」
「加瀬くんと平さんは更衣室も向こうだな」
いつの間にか加瀬は最後尾にいたチエミと並んでいて、サヤカの後をタクマと樋口が歩いていた。
「ここが店舗組のオフィスだ。席は……」
田口がすでに開いていたドアをノックして、デスクの並んだ大きなオフィスに進んだ。
チラホラとデスクに向かって仕事をするスーツ姿の男たちが、新入社員を物珍しそうに見ていた。
「樋口さん? キミはココだ」
頭をあげていた男性の一人に、「樋口さんだ」と紹介した。
「宜しくお願いします」
「僕は中根。キミの上司になるよ」
まだ二十代後半に思えた中根を見て、樋口が赤面していた。
「菅野くんと野山さん。キミたちはあのデスクだ。フロアー担当だから、みんな接客中かな?」
どうやらタクマとサヤカは売り場に出るらしい。
オフィスを出ると、その奥にトイレがあった。
「これから店舗を見てもらおうと思っている。トイレに行きたい人いるかな?」
田口が五人を見渡した。
恥ずかしそうにチエミが胸の辺りまで手をあげた。
「他にはいないかな?」
「私も!」
サヤカがチエミの後に続いた。
「スイマセン」
タクマも男子トイレに入った。
とても清潔感のあるトイレは、清掃が行き届いていた。
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