新しい一歩

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トイレから戻ると、田口と加瀬が談笑していた。 樋口は口数がなく、どこか緊張して見えた。 「そう、キミは青田社長と同じ大学なのか?」 「青田社長は法学部ですが経済学部です」 「だったら上野本店を希望しなかったのかい?」 「いずれはそうなれたらと思っていますが、流通の現場を若いうちに経験させて欲しくて志願しました」 「ホォ、頼もしい新入社員だな。みんな、揃ったかな?」 田口が加瀬を見る目が明らかに変わっていた。 階段を降りると、両開きのドアが見えた。 「向こうは店舗だ。お客様が買い物を楽しんでいる」 ドアを開くと田口が頭を深々と下げた。 何も言われていないのに、五人も後に習った。
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