桃太郎がいなくても

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ある日、ある図書館でお話会が開かれた。五歳のみかは、毎週土曜に開かれるこのお話会が大好きだった。……しかし、今日はどこか変だった。いつも一緒にお話を聞く子供達が、一人もいない。それに、いつもは優しそうなおばさんが話してくれるのに、今日はお兄さんだ。お兄さんは、みかをじっと見つめながら、ゆっくりはなし始めた。 もしも、桃太郎がいなかったら、みなさんは、最悪だ…この世の終わりだ…と思いますよね?ここでは、そんな最悪をお話ししていきます。どうぞお楽しみください。 昔むかし、あるところに、おじいさんとおばちゃんがいました。 おじいさんはしばかりに、おばちゃんは市場へ買い物に行きました。 帰ってきたおばちゃんは、なぜか、桃を両手に持っていました。 「おじいさんや、今日は桃が、すごく安かったもんで、いっぱい買ってきてしまいましたよ」 「おぉ、そうかいそうかい。そしたら、今日の晩は、桃パンティじゃな」 「おじいさん、パンティじゃなくて、パーティーですからね」 「おぉ、そうじゃった、そうじゃった」 その日の夜、おじいさんとおばちゃんは、本当に桃パーティーをしたそうな。
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