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「……愛の告白?」
顔をしかめて彼の言葉の意図を探す。
「う~ん、これも裏を返して作戦成功と判断して良いものか」
「作戦?裏を返す?何を言って……」
「おまえってさ、俺が考えていた以上に可愛い女だな」
顔面に疑問符を貼り付ける私を見つめると、彼は目尻を下げて頬を優しく緩ませた。
可愛い!?
何が!?
……私、今あなたに対して憎たらしい発言をしましたよね?
私は大きく目を見開き、喜悦の笑みを浮かべる彼を見てポカンと口を開ける。
「おまえの言いたい事は解った。責任を取って楽にしてやる」
言って、彼は私の手をグイと引っ張る。
再び彼が向かうのはタクシー乗り場。まだ終電の時間が過ぎていないからか、はたまた深刻なタクシー事情に因るものか、乗り場に並ぶ人影は未だ少ない。
「待ってよ!どこに行くの?責任を取るって何なのよ!」
「だから、俺の部屋だってば」
「はぁ!?何でそうな……」―――――――えっ……
タクシーを目の前にして、回り込む体勢で突然と抱きしめられた私の体。
「ちょっ、ちょっと!こんな場所で何を……っ…んんっ……」
身動きが取れないくらいの力で抱きしめた彼は、私に言葉を返す間も与えずに、酷く動揺する唇を唇で塞いだ。
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