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耳に触れる彼の吐息が胸を擽る。
「何それ。キザなセリフね。言ってて自分で恥ずかしくならないの?」
馬鹿にしたような言葉を口にしながらも、甘ったるい余韻が頬を緩ませる。
「麗香は恥ずかしい?」
「え?……何が?」
「俺に抱かれてる時の麗香、凄く官能的で綺麗だった。意識を飛ばすほど乱れた自分を思い出すと、恥ずかしくなる?」
まるでその感覚を呼び起こそうとするかのように、悠希の手がゆっくりと私の腰のラインを撫で上げた。
一度彼を引き入れた身体は驚く程に従順で、覚えたての甘美な熱情を欲しがり早くも疼き始める。
――――私、本当にどうしちゃったの?
胸がドキドキして止まらない。
既に身体を繋いだ関係だと言うのに、彼と目を合わせるのも恥ずかしい。
恥ずかしくて、落ち着かなくて、深いところがジンと痺れる。
「スケベな顔。私をからかおうなんて年下のくせに生意気」
心を覗くような彼の視線で更に心拍が煽られて、逃げを取る私は憎まれ口を叩いた。
「ここで年下は関係無いだろ。それに、何で顔を背けるんだ?もっとよく見せて。可愛い照れ顔を」
言って、彼はくるりと体の向きを変え私を組み敷く。
見上げるのは彼の顔。その顔には憎たらしい程の余裕を浮かべ、私の反応を楽しんでいるとしか見受けられない。
「あ、もっと赤くなった」
「煩い!見るな!」
「見るなって言われても……麗香の体でもう見ていない場所は無いけど?」
「なっ!?……バカっ!」
今まで付き合って来た男達と同じ様には行かない。相手が彼だと調子が狂ってしまう。
「可愛い」だなんて重みを感じたことの無いちっぽけな褒め言葉も、彼に囁かれると胸がくすぐったい。
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