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「……またしたくなって来た。いい?」
唇の感触を味わう様にキスを重ね、彼が甘えた声で言う。
「またって……もうすぐ夜が明けちゃう。今日も仕事なのに」
「どうせ今からは眠れないだろ?
それに、もうスイッチ入っちゃったから。俺達、体の相性が最高だと思わない?」
首筋から鎖骨へ彼の舌先が這う。
「はぁっ……」
彼の指が乳房の先をキュッと摘まむと、あらがえない快楽に火が点き甘い息が漏れた。
体の相性の良さ……それは、彼の屹立を受け入れた瞬間から私も感じていた。
繋がった秘所から全身へ、電気が流れる様に深い快感が波を打つあの感覚。彼に抱かれ快楽を刻まれる度に、女としてこの上ない悦びを感じていた。
「口で拒否する割に、ここはすっかりその気になってるみたいだけど?」
彼はほくそ笑んで、これ見よがしに蜜の中に滑り込ませた指をゆらゆらと動かす。
「あぁぁ!……んっ……イジワル……ぁ…」
彼の指が誘う愉悦の波に飲まれながら、濡れた唇を震わせ彼の背中にしがみついた。
―――――
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ブラインドの隙間から差し込むのは、寝不足の体を貫くような眩い日の光。
澄んだ青空には浮かぶ雲も無く、遠くに連なる山々が今朝はやけに綺麗に見える。
ソファーに座ってマンションの8階から眺めるのは、目覚めたばかりのありふれた街の景色。
このままソファーで睡魔にノックダウンされそうな瞼を擦り、頭の覚醒を促そうとわざと太陽の光に目を向けた。
淹れたての珈琲の香りが部屋に漂う。
「朝メシ、買い忘れたからこんな物しかない。出勤前にどこか店で食べても良いけど?」
Tシャツと短パン姿の彼が言って、ソファーの前のガラステーブルに珈琲カップとクッキーの缶を置いた。
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