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「上部消化管外科……この男に母の店を出入りしていた可能性が?」
「母親の店かどうかは分らないが、当時錦三丁目をうろついていたと言う証言がある。ちなみにこの男、ナンバーワンキャバ嬢を孕ませて、堕胎費用と数百万を支払った武勇伝もある」
小馬鹿にするように言って、彼は喉の奥で笑いを堪える。
ナンバーワンキャバ嬢を孕ませて慰謝料を払った!?て事は、母の他にも何人か同業者に手を出してたって事!?
そんなゲス男に母が惚れ込むなんて……
私に何も話さないのは、そんなクズ野郎に惚れた汚点を蒸し返したくないから?
「……絶句。私の中にそんな男の血が流れてるなんてね。透析でもして全身の血液を清めて貰いたいくらいよ」
だとしても、遺伝子の入れ替えが出来る訳でもないけどさ。
ここまで来ると落胆も底を尽き、もはや笑うしかない。
「この男に確定って訳じゃ無いけど。実はこの男、大御所様の後輩でもある」
「えっ!なら、次回のバースデーパーティーに島根から足を運ぶ可能性が大?」
「ああ、小細工して俺からしつこくDMを送り付ける。パーティーに参加させたらこっちのもの。コイツが大御所様と接触したら、俺が乱入して過去の話を持ち出す機会を作る。大御所様も当時の事を何か知っているかも知れない」
『任せとけ!』と言うかのように、彼が意気揚々と言葉を連ねる。
頼もしい。想定外に頼もし過ぎる。
けれど、あれから未だ5日しか経っていないと言うのに、どうやってここまで調べ上げたのか不思議でならない。
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