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天海陽菜乃とよりを戻すなんて有り得ない!
だって悠希は、大勢が見ている前であの子を振った。本気で好きなのは私だって、そう言ったんだから!
顔を引き攣らせながら、いつもより大きな歩幅で足を速める。
視界に入るのは、昼食を終えて其々の配置に戻る人達。その流れに逆らって進む私は、食堂に入る一歩手前で急ブレーキをかけた。
蛇行させた視線が捕らえたのは、私から遠ざかっていく後ろ姿。人の隙間から見えた背中でも、私が彼を見間違える筈が無い。
悠希!待って!
その背中を追う私は、エレベーターの前に立つ彼を見て息を止める。
「どうして……」
一瞬にして凍りついた視界。
私が距離を置いていた彼は、別れた筈の元カノと肩を並べ、まるで二人の間には何も無かったかの様に笑い合っている。
どうして陽菜乃と一緒に!?どうして仲良くランチなんて出来るの!?
二人を凝視しながら荒々しく上っていく血潮。
どう言う事なの……その子とよりを戻したと言うのは本当なの?
衝撃と怒りで顔がカッと熱くなる。
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