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あなたも私と同じ気持ちだと思ってた。例えあなたが別れを選んでいたとしても、想い合う気持ちは永遠だと信じていた。
信じていたかった。
それなのに……
私の中では何一つ終わっていないのに、このまま強制終了だなんて許せない!
後ろから追い掛ける私の姿に気づかない二人は、扉が開かれたと同時に、エレベーターに乗り込む人々に続いて足を進める。
待って!行かないで!
雑音に消される私の足音と気配。あと数歩で手が届きそうなところで、エレベーターの扉がゆっくりと閉じる。
「悠希!」
周囲を気にする余裕もなくて、縋るような声が喉から押し出された。
けれども、その行為は虚しい余韻だけを残し、置き去りにされた私を嘲笑うかのようにエレベーターは動き出した。
「そんな……」
開かない扉の前に突っ立つ私の唇から、掠れた声が滑り落ちる。
「あれ~?あなた、瑞木麗香さんじゃないですか?」
背後から聞こえた声。怒りと悲しみで心乱す私は突然の声掛けに驚き、寝耳に水を掛けられた様な顔をして振り返る。
私の後ろに立っているのは、同じ年頃の見知らぬ二人の女性。私の顔をマジマジと見た後、二人は互いに目配せをしながらニヤニヤと笑う。
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