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「ウオッ!?イテ―――ッ!イテイテッ、なっ!?何だよこのオッサン!」
くるりと腕を後方に捻られ、背後から磯崎さんに動きを封じられた男。
その光景はまるで、現行犯が警察に取り押さえられた瞬間の様だ。
「誰がオッサンよ!こんな紳士に向かって失礼ね!」
「はぁ!?いっ、いてぇ――ッ!誰だよコイツ、麗香の知り合いか!?ウッ、クソッ、離せって!」
赤子の手を捻るかのように腕と肩を強く掴まれた男は、痛みを訴え体全体で抵抗をする。けれども、ビクともしない磯崎さんは口を尖らせフンと鼻を鳴らす。
女の口説き文句を学ぶ事しか頭に無い軟弱男が、この磯崎さんに敵う筈が無い。
何故なら、こう見えて磯崎さんは空手6段の取得者。子供と大人が力比べをしているようなもの。
「そう、私の知り合い。お願い磯崎さん、手を緩めて!あなたの力じゃ腕が折れちゃう!」
目の前で起こる現状に混乱しながらも、男を確保する太い腕にしがみ付く。
「だって、この坊やが嫌がる麗ちゃんにしつこく言い寄っていたから。だから私がお仕置きを」
「ええっ!?お仕置きは要らないから、だから離してあげて」
「そもそも俺はしつこくなんて言い寄ってねーよっ!つーか、アンタ何なんだよ!」
私の言葉で力を抜いた磯崎さん。すかさず男は極技から逃れ、顔を引き攣らせて正面に立つ磯崎さんをマジマジと見る。
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