自慰

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「お願いします!彼女には、もう彼女には近づきません!」 「本当か?」 「本当です、信じて下さい!」 撫でられた股座を隠すように腰を引く男。彼を支配しているのは羞恥なのか恐怖なのか、今にも泣き出しそうな顔をして磯崎さんを見上げる。 「言っておくが、この錦は俺の縄張りだ。今回の事を逆恨みして彼女に何かしようものなら、俺がおまえの自宅と職場を探し出し、気絶するまでお仕置きをしてやるからな」 磯崎さんは懇願する男の顔を覗き込み、声の低音に更なる凄味を利かせる。 「し、しません!そんな事は絶対にしませんから!」 「そうか、分かってくれたならそれで良い」 頷いて穏やかな笑みを浮かべた磯崎さん。それを見て狩りから解放された獲物は、肩の力を抜くようにホッと安堵の笑みを浮かべた。 ―――と、その直後。 「お利口さんな坊やね。ご褒美をあげるわ」 満面の笑みを浮かべる磯崎さんが奪ったのは、一刻も早くこの場から立ち去る事を願っていたに違いない彼の唇。 「ングッ!?〇※△×―――ッ!!」 一難去ってまた一難。今度は口を塞がれ必死にもがく男。見事に虚を衝いた磯崎さんは、後頭部を押え込んで濃厚に吸い付く。 「はぁ~美味しかったわ。ご馳走さま~。うふふっ」 唇を離した磯崎さんは満足気に笑うと、後味を愉しむかのようにペロリと舌舐めずりをした。
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