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「約束して会う相手は三人かな。言っとくけど、俺のこの性格を理解して付き合ってる女の子ばかりだから」
「……」
俺の性格を理解して―――って事は、その三人とも他に女が居ると知って彼と付き合ってるって事?
要するに、割り切った体だけの関係だと……
「お盛んな事で。あなた、医者としては優秀だけど男としては最低ね。誰かを本気で好きになった事はあるの?」
皮肉を込めて満面の笑顔を向ける。
「麗香は?」
「え?……私?」
「麗香にも居るだろ?抱かれる男の一人や二人。麗香は本気で誰かを好きになった事があるのか?」
「なっ……問いを問いで返すのは止めて!」
まただ―――
私の心の奥までも見透かそうとする真っ直ぐな瞳。まるで弄ばれている様で、平常心が乱される。
「勿論いるわよ。あなたと違って大人の男が」
沈黙を埋める様に言って、私は手にしていた三杯目のカクテルを飲み干した。
「へ~、やっぱり居るんだ。そう言う男」
「私はあなたみたいに器用じゃないから、付き合う相手は一人だけど」
わざと嫌味を込めた微笑みを浮かべる。
「麗香ほどの女が一人の男にね~。―――で?その男を本気で愛してるの?それとも、退屈しのぎの体だけの関係?」
「……愛してる?」
彼の口から『愛』という言葉を聞いた瞬間、胸がドクンと大きな鼓動を打った。
「な~んて、聞くまでも無いか」
「え?……」
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