背中越しの君は【R18】

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そいつはいつも、背を向けて寝る。 行為中にキスはさせてくんないけれど、それでもたぶん心も体も愛し合っていて。 なのに、何故だかこっちを見てくれない。 行為を終えた2人はベッドで寝転がる。 1人は拗ねているのか怒っているのか、相手に背を向けて横になっていた。 「めぐちゃん、めぐちゃん、なぁんでそうやってそっち向くの」 「うるせぇ、めぐちゃんって呼ぶなっつってるだろ」 「あいちゃん」 「殴るぞ」 そっぽを向いている黒い短髪の青年の名前はめぐむ。「愛」とかいて「めぐむ」だ。 ひたすら愛の背中を見つめる茶髪の男、京はへらへらと笑った。 「俺は好きだよ、愛って名前」 本人は可愛らしいその名前が嫌らしいのだが、京はその名前を気に入っている。 だって、愛だなんて、似合っていて可愛らしいじゃないか。 まぁ、彼はどう考えても可愛いという容姿ではないのだが。 まぁ、愛の可愛いところは俺だけが知ってればいいじゃない?京は嬉しそうに笑って愛の背中をなぞった。 「……っひ」 突然のことに愛の体はぴくんと跳ね上がる。 「触んなっ」 ようやく振り向いたと思えば、拒絶。 京は悲しむフリをしてみせる。 それをみた愛は呆れたように溜め息を吐いた。 「ちょっとぉ、酷くない?」 「こいつまじうぜぇー」 嫌そうな声に京はむっとして、拗ねた顔を作って愛の頬に触れる。 ちゅ、と大きくリップ音を鳴らしてキスをすると、愛はしかめ面を京に向けた。 「何」 「ただの愛情表現」 「もうお腹いっぱいだわ」 「まじで。俺まだペコペコなんだけど」 愛が足りない、なんて笑って告げる。 「そう、足りないの。でもこれ以上はあげらんないから俺たちもここまでデスネ」 「諦めんなよ、努力をしろ努力を」 何の努力、としかめ面を濃くする愛に京は覆いかぶさってキスをする。 愛は京に抵抗せず腕を背に回してキスに応えた。 キスをやめて、京は愛の唇をぺろりと舐める。 「……京、俺もう疲れてる」 「俺はまだ元気なんだけどなぁ」 「何回ヤれば疲れるんだお前、体力馬鹿か」
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