サバイバル スタート

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 一人で進みだして小一時間たった。  土手沿いを歩く柳二の耳には人々の悲鳴と轟音、そして銃声が届く。  おそらく、自衛隊や警察の人間が例の化け物に対して銃撃を行ってるのだろう。 「ふ~~~足いてぇ」  サバイバルゲーム用のタクティカルブーツを履いてても流石に長時間歩くとキツい。ただでさえ一睡もせず、飯もまともに食わずに飛び出したのだ。 「・・・・・・何もいないな・・・」  辺りの安全を確認後、土手の端にある段差に腰掛け一息ついた。そして非常用バックから200mlのボトルとカロリーメイト《ちなみにチョコ味》を出した。  非常用装備は水、食糧、救急セット、ラジオ、ライト、護身用のサバイバルナイフを揃えている。 「・・・・」  カロリーメイトを食べ終え、水を一口飲むとバックにしまい、代わりにサバイバルナイフを取り出して、右ポケットから煙草を出した 「ぷ~~~~🚬」  大きく吸って吐いてから柳二はさっきの化け物を思い出した。 (なんなんや、あいつらは[?]しかもあの形、動き方、まるでゴキブリやないか)  姿だけでなくその素早さ、動き方は間違いなくゴキブリそのものだった。しかし、なぜいきなりあんなでかいゴキブリが現れたのかは皆目見当もつかない。 「しかしこれからどうすっかなぁ~」  人混みから外れ単独で、しかもナイフ一本で市内に戻りシェルターへ行くにはあまりに危険だ。 ・・・と、  ダダダン❗ダダダン❗ 「❗❗」  さらに上流の方から銃声、そして何人かの声が聞こえた。銃声から考えるにおそらく自衛隊か警察の特殊機動隊の人間だろう。 「・・・行くべきか、やめるべきか・・・・」  銃声が鳴り止まないことからかなりの数の巨大ゴキブリと闘っているのだろう。その最中に彼等に合流するのは危険が大きい、かと言ってこのままここに留まっていると銃声を聞き付けて他のゴキブリ共がここに集まってくる可能性も十分ある。そうなると後者の方がより危険だ。 「運を天に任せるか・・・」  そう呟くと、ナイフを片手に柳二は音のする方向へ足を進めた。
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