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「え~っと、まず現在位置はここ」
そう言いながら、彼はラミネーターで防水処置された大阪市内の地図を指差した。
場所は川を出た辺りの浜辺だった。
さらに彼は話しを続けた。
「で、俺たちはこの後、ここに向かうんや」
そう言って地図の一ヶ所だけ円を書かれた印に指差した。場所は奈緒美たちが居た川のさらに上流の辺りだった。
「少し休憩したら別の道探してここに向かうで」
「二人だけで[?]」
「ああ」
「さっきの警察の人は[?]」
二人だけで行くと知ったことに驚き、男にそう聞いた。
父親がやられた直後に警察がやられたところまで見ていたがあと一人がどうなったかまでは覚えてなかった。
「その人も、やられた・・・俺たちを逃がすために・・・」
「そう・・・」
再び奈緒美は落ち込んだ。
護衛も無く一般市民が二人だけで目的地行くのは無茶を通り越して自殺ものだった。
「まぁ任せろ、たかがサバゲーやけど、それ仕込みの判断力はあるし。・・・多分やけど・・・」
気休にもならない発言に思えたが最後のセリフはだけはわざとらしく聞こえたため元気付けてるのだと思い、
「・・・ありがとう」
と、微笑みながらそう言った。その顔を見た男は少し照れ臭そうなそぶりをみせた。
「ところで、これから行動するにあたってお互いに自己紹介せなな😌」
今後も必要な物をバックにしまい、男がそう言い出した。
「俺は木下柳二、歳は20歳や。よろしくな😌」
「私は松岡奈緒美、あなたと同じ20歳です。」
「あ、同い年か、関東出身か[?]」
奈緒美のしゃべり方からそう思い、そう聞いた。すると彼女は少しうつむいて、呟く様に話した。
「はい・・・・小さい時にお父さんとお母さんが離婚して、お母さんと埼玉でくらしてました。だけど、去年お母さんが癌で死んでしまって、当時まだ19だったわたしはお父さんの居るこの大阪に来たの・・・」
それを聞いて、柳二は悪いことしたという気持ちになった。だから、
「ごめん・・・・」
と、謝った。
「ううん、今は大丈夫。気にしないで」
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