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まだ9月だというのに寒く感じる。決して激しく降り注ぐ雨のせいではないはずだ。
一つ分かるのは、俺の瞳から雨ではない雫が流れていることだった。
嘆き、悲しみ、哀しみ、泣きじゃくった。昔の俺からは絶対に想
想像できないだろうな。
一滴、また一滴と流れる落下していく水を見つめながら、今も昔も、何一つ変わらず思う事がある。
人間ってクズだよな。
そして、ついに運命の刻。一週間前。
流石にあれ以来ラノベを読む機会は大幅に減ったと思う。
だが、今俺は書店にて新作ラノベを探している真っ最中。
二時間の時をかけ、友達とにらめっこをした。
両手に平積みにされたそれが10冊を越えたところ。
「お!まだ読んでたのか!」
妙に嬉しそうな声だった。
脳裏には、思い出したくもない記憶が鮮明に蘇る。ああ、またコイツらかと顔を向ける。
すぐに視線をおろそうとしていたが、俺の目は彼を貫いていた。
あれ・・・この人誰だっけ・・・。
ただ、俺に絡んできた奴じゃないのは分かった。
「俺もさ~、ラノベ大好きなんだよなー」
一瞬何を言っているか分からず、自分の耳を疑った。
そういえば、思い出した。いつも隅っこで読書している奴だ。
なぜコイツは非難されないんだという感情が宿っていた。
「一緒に見ないか?」
唐突なこいつの声は、俺の心を数ミリ、いや数センチ動かした。
「じゃあまた明日なー!」
「あ、ああ」
分からない。何であいつはこんなにも接してくれるのか。
分からない。何で俺はこんなにも接しているのか。
分からない。何で俺はあいつにだけ心を許せたのか。
分からない。何で俺はアイツらに心を許すことができないのか。
あれ、何で俺っていじめられてるんだっけ。
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