羽根のない鳥

幼少期。

私は母の背中をよく覚えてる。
いつもいつも見てたから。

話しかけてもこっち向いてくれない。
でも聞いてくれてるかも知れない。

だから背中しか見れなくても私はいつも話しかける。
母の背中に向かって「お母さん、あのね・・・」

買い物の時も、いつもお母さんの背中見てるよ。
はぐれない様にしっかりついてきなって、お母さん手・・・繋いでくれないから

機嫌がよかったら服の裾を持たしてくれる。

私は小さい頃よく迷子になった。
その度にこっぴどく叱られた。

私はお母さんと手を繋いだ記憶がない。