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それから母は怒鳴るだけじゃなく、手も出すようになってきた。
さすがに殴る蹴るはなかったが、耳やほっぺを思いっきりつねられグッと上に持ち上げられたり、頭や背中をひっぱたかれたり、首根っこを掴まれたりした。
ひっぱたかれたりする理由は、返事をしなかったり呼んでもすぐに来なかったなど、どれも些細な事だった。
そして、そんな毎日にも慣れてきた頃母が入院する事になった。
肝臓を悪くしたのだ。
母の入院中、妹は母方の祖父母に預けられる事になった。
農家をしながら私と妹2人の面倒を見るのは難しかったからだ。
妹はまだ1歳になるかならないかでミルクを飲んでいた。
それから私とじちゃんばあちゃんの3人の生活が始まった。
(父もいたが、ほとんど家に居なかった。)
毎日がバラ色だった。
怒鳴られる事もない、つねられる事もない。
うるさく泣く妹もいない。
ばあちゃんは優しかった。
好きなだけ本を読み、絵や漫画のようなもの画き没頭した。
お母さんのお見舞いには一週間に一度行くか行かないかだった。
入院中の母はいつもと違い、なんだか弱弱しかった。
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