おいしいごはん

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「うわぁ、危ないよ!料理してる時は近づいちゃダメよ」  いつの間にか俺の後ろに居た小さい彼女。たまに蹴飛ばしてしまいそうになるほど、俺は小人の存在に慣れていない。 「……ぅん」  小さく頷くとテレビの元へとテトテト走っていった。 「早く作らなきゃな!」  バタバタと料理を再開していると、また彼女がそろりと此方を覗いていた。 「どうしたぁ?お茶でも欲しいのか?」  犬のように頭をふるふると揺らす。では、何がしたいのか俺には分からない。せめて喋っていただきたい。彼女の目線に合わせて屈み、首をかしげて困ったアピールをしてみる。 「……あっ、お鍋」 もじもじしていた彼女は鍋の方をチラッと見て目をぱちくりさせる。視線を追うと鍋が吹き溢れている。 「やべっ」 慌てて鍋の火を弱める。振り向くとテレビの方へ戻ったようだった。
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