全裸からの第一歩

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「これは……どういう事ですか」 僕が尋ねると、王様はご自慢のひげを撫でまわした。 「先ほど言った通り、お主は勇者となったのだ。魔王を討伐したまえ」 「いや、その事ではなくてですね……」 今から二十年前、僕が生まれる三年前、魔王が復活した。ユーフシダラ大陸の平和は脅かされ、力を持たない国は次々と魔物の手に渡った。この国から足を一歩踏み出せば、魔物たちがウヨウヨと待ち構えているというのが現状である。 そしてこの僕、ポロリ・チマルコは王様に、復活した魔王の討伐を依頼されたのだ。 王様から直接勇者に任命されたというのであれば、魔王討伐もやぶさかではない。ここに拉致されてきたことを水に流してもいい。 国民が選ぶ憧れの職業第一位の勇者になれるのだから、格好もつくし、嫌がることは何一つないはずだった。かく言う僕も、勇者にあこがれる国民の一人である。 しかしながら僕が懸念する一番の問題は、何とも滑稽な自らの格好なのである。 「どうして僕は全裸なのでしょうか」
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