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 それで、 ぼくの気持ちも晴れやかになったのだろう。  元母であるところの祖母の、 この先ごく近いであろう死を、 ぼくがしっかりと受け止めなければならないという重圧感から、 しばしの間だが開放される。  電車を乗り継いでタクシーを拾い、 指定の総合病院にやがてぼくは到着する。  知らない街の病院だが、 感覚的には、 ぼくの住む街にある総合病院と大差ない。  エントランスを抜けて何人もの患者や看護婦、 スタッフ、 警備員、 医者たちと擦れ違う。  不思議なもので感覚的に近しいと感じたためか、 出会う人たちの顔がみな馴染みのように思えてくる。
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