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 人はある年齢を過ぎると過去に出会った人間を類型化し、 その後に出会う人たちをパターン分けしてその枠の中に分類するという話を聞いたことがあるが、 ぼく自身も知らず知らずにその分類を行っていたのかもしれない。  エレベータの中で居合わせた同年輩だろうと思われる看護婦の顔にも懐かしいものを感じてしまう。  その後の祖母の見舞いは、 ほとんど祖母の睡眠の中で行われる。  あの手紙を書いたのが、 祖母の最後の気力だったようだ。  それでも祖母はぼくの姿を確かに認識してくれて、 ぼくの身内に瞬時神々しいような感覚を呼び覚ます。
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