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 あなたのお部屋の真ん中で 静かに刺されてくださいな  わたしの想いを知りながら あなたがわたしを殺すから  それともお庭の片隅で わたしに刺されてくださいな  きっと楽しくなるはずよ あの日の思い出浮かぶから  姉が死んだのはもうずいぶん前のことだが、 日記を発見したのはつい最近だ。  かなり歳の離れた姉で、 ぼくが生まれたときには中学三年生半ば。  とても可愛がってもらった記憶があるが、 それも歳の差の影響だろうか。  当然喧嘩などしたことがなく、 時折ぼくが癇癪を起こしたときには諦めたように中空を睨む。
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